立型マシニングセンタとは？用途やメリットについてHow to buy

1.立型（縦型）マシニングセンタとは

前回、「横型マシニングセンタとは？用途やメリットについて」でもご紹介しましたが、「マシニングセンタ」とは、ATC（自動工具交換装置）とCNC（コンピュータ数値制御）という機能を搭載することによって、連続した加工を行える工作機械を意味します。
機械部品の加工等で広く使われ、自動で複雑な形状の部品を高い精度で加工できるといった特長があります。
では、立型マシニングセンタは他のマシニングセンタとはどのように違うのでしょうか？
今回、ご紹介する立型マシニングセンタは、主軸（取り付けた刃物などの工具を回転運動させる装置）が垂直方向に設置され、加工物を上から加工する構造になっています。

立形マシニングセンタは、穴あけ、フライス加工、ねじ切りといった複数の加工工程を自動で行え、操作性が良く、メンテナンスがしやすいので、多くの製造業で使用されています。

2.立形（縦型）マシニングセンタはどんな用途に向いているか

ー1. 高い加工精度が求められるとき

航空機や自動車のエンジン部品等は、ほんの少しの製品の誤差が重大な事故につながってきます。
そんな繊細な製品を作る時は、立形マシニングセンタの出番です。
高い精度で加工できる立型マシニングセンタは、多くの製造現場で使用されています。

ー2. 複雑な形状の部品を加工するとき

複雑な三次元の形状を持つ部品だったり、複雑な加工が求められる部品の製造では、立形マシニングセンタが活躍します。特に、曲面や穴の位置が複雑な部品を作るときは、コンピュータでの数値制御を活用して正確に加工を行うことが出来ます。

ー3. 1台で複数の加工を行いたいとき

1台だけで穴あけ、フライス加工、ねじ切り、さらには研削までも行えるオールラウンダーであり、複数の加工を一つの機械で一気にしたい場合におすすめの機械です。

3.立形（縦型）マシニングセンタのメリット

≪メリット1≫高精度・高品質な加工が得意

立形マシニングセンタは、CNC（コンピュータ数値制御）により高い精度の加工が出来ます。プログラムで自動的に切削を行うので、手作業と比べると、加工の誤差を最小限に抑えることができ、高い品質の製品を安定して生産することが得意です。

≪メリット2≫ 設置スペースが少ない

立形マシニングセンタは主軸（取り付けた刃物などの工具を回転運動させる装置）が垂直方向に配置されているので、横型マシニングセンタ（主軸が水平方向に配置されている）等よりも小さいスペースで加工ができるので、設置面積を抑えて機械を導入することが出来ます。

≪メリット3≫ 加工状況を直観的に把握しやすい

加工物を上から加工するため、加工をしながら設計図面と比較しやすく、加工内容が直観的で分かりやすいです。

≪メリット4≫コストが低い

横型マシニングセンタよりもシンプルな構造となっており、比較的、機械の買取や中古での販売が低価格で取引される傾向にあります。

4.立形（縦型）マシニングセンタのデメリット

≪デメリット1≫切りくず（切粉）がたまりやすい

加工物を上から加工する特性上、切りくずが加工物にたまりやすくなっています。
切りくずを巻き込んで加工をしてしまうと、加工不良を起こすことがあるため、圧縮空気の吹き付けや、切削油（クーラント）の洗い流しで随時、取り除く必要があります。

≪デメリット2≫無人運転等の自動化のしにくさ

主軸が横に配置されていることで切りくずがたまりにくい横型マシニングセンタは、自動化と相性が良いですが、立型マシニングセンタは、縦に主軸が配置されているので、切りくずがたまりやすく、自動パレット交換装置（APC）を導入しずらいため、自動化との相性は低くなっています。

5.立形（縦型）マシニングセンタの大きさ

立形マシニングセンタのサイズは、加工対象や用途に応じて様々なサイズがあります。
以下は、一般的なサイズ例となります。

• 小型モデル

  パレットサイズ
  約700mm×約400mm以下
  主に小型の機械部品、電子機器の部品、金型等に使用されます。

• 中型モデル

  パレットサイズ
  約800mm×約500mm
  ～約1,100mm×約700mm
  主に自動車のエンジン部品、フレーム、中型機械部品等に使用されます。

• 大型モデル

  パレットサイズ
  約1,200mm×約800mm
  ～約2,000mm×約1,200mm以上
  主に航空機の部品、大型自動車部品（シャーシ、ホイール）、大型金型等に使用されます。

6.立形（縦型）マシニングセンタの取り扱いメーカー

DMG森精機（DMG MORI）

日本とドイツに拠点を持っている、世界的に有名な工作機械メーカーです。NVXシリーズなど、高機能かつ高い加工精度をもつマシニングセンタが豊富です。特に、5軸機能や自動化技術が優秀で、精密な部品や複雑な形状の加工を得意としています。

ヤマザキマザック（Yamazaki Mazak）

長年にわたって高い精度、高い効率を持ったマシニングセンタを生産している日本の大手工作機械メーカーです。直観的に操作ができる「MAZATROL SmoothX」などの先進的な制御システムを搭載し、効率良く、高い精度の加工ができます。

オークマ（OKUMA）

日本の大手工作機械メーカーです。高い精度・高い剛性をもつ信頼性の高い機種が多く、主に中型〜大型までのラインナップが充実しています。

7.立形（縦型）マシニングセンタの主な品番

一部となりますが、具体的な品番は以下になります。